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中国はこの暴動で損をした

大介君が突然昼休みに怒門のオフィッスにやってきた.

怒門:やあ,大介君。よく来たね.どうしたい.

大介:中国の例の暴動について話したくて・・・中国で起きた,デモ行進,と言えば聞こえは良いですが,暴動は今後どのような影響を与えますか.また,簡潔に・・・あの暴動で中国は得をしたのでしょうか.損をしたのでしょうか.

怒門:はっきり言えば,損をしましたね.今後の日本政府の対応,中国政府の対応,いろいろあると思います.しかし,はっきり言えることは中国は損をしました.

大介:なぜそこまではっきり言えるんですか.日本国政府が例によって弱腰外交をするかも知れないし.中国がまた,揺さぶりをかけてくるかも知れない.

怒門:そのような今後の対応,と言う点からではなく,歴史的な観点からものを見ると,はっきり言って中国は損をした,と言える.
 中国には,孔子,孟子,老子,などすぐれた思想家の優れた業績があります.それらが我々の中国観に大きく影響を与えている.はっきり言って良い影響を与えてきました.
 みんな本当に忘れっぽいとつくづく思います.中国で何が行われているのか,1980年代の前は誰にも分からなかったんです.それこそ,先の孔子や孟子が生きていた春秋戦国時代から1980年代までですよ.情報は封鎖されていた.もっとも19世紀までは,伝えたくても伝える手段がなかった.
 第2次大戦後,中国が共産主義の国になってから,完全な情報封鎖がしかれ,日本人の場合それこそ中国政府が認めた「特別な人」しか中国国内に入れなかったんです.

大介:何か北朝鮮みたいですね.

怒門:まさに北朝鮮そのものです.そして,自分らに都合のいい情報だけを西側に流していた.私が小学生の5,6年の時,担任の先生が「中国にはスズメがいない」と言うんです.「だからすごくきれいなんだ」というニュアンスで語ったことがあるんです.子どもらは,私も含めて「中国ってすごいな」と思うわけです.
 ただ,スズメなんか日本中どこにでもいる.これがいなくなるっていうのは,公害がひどいのか,みな撃ち殺してしまったのか,どちらにしても何か変だな,とは子どもながら思いました.何か不気味なものも感じました.

大介:子どもながらそう思っても,中国に対する漠然とした,すごいな,など良いイメージは植え付けられますよね.だけど,実際はスズメはどうなったんでしょうか.

怒門:毛沢東がスズメは作物などを食べてしまうので害鳥だ,と言ったんです.これはもう命令ですから,中国人民総出でスズメを殺したんです.するとどうなるか.スズメは作物も食べますが,同時に害虫も食べています.害虫の天敵のスズメがいなくなったので害虫が大発生して、その被害が大きくなり大飢饉が発生しました.
 笑い話にはならないけどあまりにも滑稽です.しかし,その様な情報は入ってこない.情報は封鎖されていた.

大介:へえー.面白いですね.昭和40年頃.大阪万博の頃ですね.

怒門:当時の共産党シンパの書いた本はもとより,スズメの話はその頃の一般的な本にも結構出ています.つまり,スズメの話で私が言いたいことは,当時の日本の中国に対するイメージは今よりも格段に良かった.それはただの幻想であったわけですが,イメージは良かった.歴史のある,優れた思想家を輩出し,徳によって国を治めている,と認識されていた.勝手に日本人が作り上げたものもあるのですが,少なくとも今よりはずっと良かった.知らぬが仏,と言う言い方もできるわけですが・・・

大介:1980年代頃からですか.とにかく外国人が中国国内を往来できるようになったのは?

怒門:そうです.漫画家の横山光輝さんが「三国志」という単行本で60巻に及ぶ漫画を書いておられます.おそらく三国志を漫画化しそれで書ききったのは,横山さんのそれが初めてだと思います.その横山さんが回想して言っておられたのですが,はじめは中国国内に入国できなかったので,想像や,書物の絵や中国の観光の本を見て書いていたそうです.1980年代から入国はできるようになったけど,奥地には行けない.結局,漢中や五丈原は立入禁止のまま校了となったと三国志の単行本の60巻の最後に述べています.

大介:そして,その後,1980年代に開放政策をとり,外国人と外国資本を導入,怒濤のごとく外国資本が入り,中国も発展,人の往来も活発となり今に至ったんですね.

怒門:でも,情報統制はできなくなった.天安門事件の一部始終は全世界に発信され,中国という国に対する認識を新たにした.この後,10年も経つと,人間忘れっぽいもので中国も変わったのかな,と思ってしまう.でも,何も変わっていない.
 アジアカップでの信じられないくらいの日本人選手に対する狂ったようなブーイング.日の丸を会場で燃やして気勢を上げる中国人たちの映像がこれまたリアルタイムで世界中で回ってしまう.そして,今回.

大介:中国政府は,あの暴動の責任は靖国神社のお参りや教科書問題,尖閣諸島の問題が原因で,日本にある,と言っています.あの暴動の様子を見て,世界の人はどう思うんですかね.

怒門:あの暴動を見て,暴動の原因が日本にあると考える外国政府の要人はどこにもいません.そう考えるとしたらよほど頭がおかしいと思わざるを得ない.
 その証拠としてはね・・・韓国のノム・ヒョン大統領がドイツを訪問していましたでしょ.彼がよく言っていましたね.「日本は戦争中の反省をさっぱりしない.その点,ドイツはすごい.きちんと反省して周りの国とうまくやっている」これを,ドイツの首相の前でも言っていました.本当にそう思っているですね.

大介:ちがうんですか.

怒門:笑っちゃいますね.韓国国内向けにその様その様なことを言うのならまだ良い.しかし,ドイツまで行って,ドイツの首相の前でそんなこと言うなんてね.

大介:どうしてですか.

怒門:ドイツだって,敗戦国として,また,ユダヤ人の大虐殺という重たいものを背負って今までがんばってきた.今も重石を感じている.ノム・ヒョンが言っているように決してうまくやってきたわけではありません.ドイツからしてみると戦時賠償をしてあとは何を言ってきても取り合わない日本の方がをずっとうまくやっていると思っているふしもある.
 ドイツにしたって,フランスやイスラエル,他の国は今でもネチネチ言ってくる.日本と同じです.だから,日本の気持ちの方がよく分かる.まして,ドイツには東ドイツの再生という厳しい課題がある.
 そして,このたび,国連の常任理事国になるという話が出てきた.あの話には,ドイツは常任理事国になれて日本はなれないという選択肢はないんです.国連改革の一環で9月に期日を決めて常任理事国を増やそうかというA案といずれは増やすが期日は今は決めないでおこうというB案があるんです.どちらにするか,というだけです.
 常任理事国の候補と目される,ドイツ,日本,ブラジル,インドはA案支持です.それに反対する中国,韓国はB案支持です.

大介:そんな状況で,ノム・ヒョンがいつも言っていたあの「日本は戦争の反省をしていない.竹島は俺のモンだ.そんな奴に常任理事国の資格はない.ドイツは偉い.戦争の反省もちゃんとした.ドイツは常任理事国になれ.ついでに,日本の常任理事国入りをドイツも反対してくれ」というのは滑稽ですね.聴き方によっては,ほめ殺しのようにも聞こえます.

怒門:まして,ドイツにとって日本は第2次世界大戦をともに戦った同盟国です.ドイツはその様な目でも日本を見ている.韓国ごときが一体何を言うんだ.ということになるんじゃないですか.そう思うと,笑っちゃうでしょ.

大介:確かにこれは笑える.ドイツに行く前はブンブンとエンジンを回して快気炎を上げていたのに,ドイツで実際に話をすると,ずいぶんトーンダウンして,いつもの「元気」がなかったですものね.

怒門:あと,タイミングが良く中国の暴動が起こった.あの暴動のスローガンと,ノムヒョンのスローガンとはいっしょです.そんな時,同じようなことをノムヒョンが言ったら,「お前もあいつらの仲間かね」と言われてしまう.結局すごすごと帰ってきました.何をやりに言ったんですかね.笑でます.お笑いノムヒョンです.

大介:韓国に帰国してからのノムには注目です。ドイツで調子の悪かった分、韓国に戻ってからきっと切れまくりますよ。切れ方が今までの大統領よりすごいから、今度の切れ方はまた一段と違いますよ。そう思うと、ノムヒョンの帰国も楽しみでしょ。
 ちょっと韓国の話にそれちゃいましたね.つまり,僕が言いたかったのはね、中国の暴動の責任が日本にある,といっても誰も耳を貸さないだろう,ということですね.

怒門:そうです.それを言いたくて,ノムヒョンの話を出しました.
 まあ,中国に関しては,先人たちが積み上げてきた偉大な文化遺産,そして,イメージが,1980年代に開放政策をとってからガラガラと崩れています.今回の暴動で,中国はただの制御しがたい人々の群,というイメージが定着してしまいました.結局,先人の業績を食いつぶしてしまった.
 今回被害にあったのは日本大使館と日本企業であるが,諸外国からしてみると次は自分になるかもしれない.風向きが変われば,中国政府が中国内の外国企業を摂取してしまっても何にも言えない.あらためて中国のリスクを認識したのではないですか.
 それが中国が損をしたと私が考える理由です.

 長くなったのでまとめます.

まとめ
○中国はこの暴動で損をした.
  孔子,孟子など古代からの優れた文化的業績と情報封鎖によって作った中国のイメージがガラガラと崩れた.あるのは,口汚くののしり暴力を振るう大群衆と,理屈もへったくれもない一方的,自分勝手な紋切り型の声明.旧ソ連や今の北朝鮮の声明を思い出させる.

○中国の今回の暴動の声明で中国に責任はなく日本にあるというのは誰にも信じられることはないだろう.証拠として,韓国のノム・ヒョンのドイツでの口調は恐ろしくトーンダウンしていた.韓国国内のような調子でやったら,バカ丸出しになってしまう.

●くりかえし言うがみんなホントに忘れっぽい.スズメの話ではないけど中国に良いイメージを持っている人もかつては大勢いたし,1980年より以前は中国は北朝鮮のように国内に外国人が入国することはおぼつかなかった.
 その様な点から現代の状況を見てもらおうと思い,私はこのブログを立ち上げたのです.

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中国の暴動はこれだけではない.まだまだある.
このホームページを見よ.中国の暴動に関する記事であるが,怒門にとって勉強になりました.

 http://www.archivelago.com/~Chisso/041128China_magma.htm
 中国での暴動頻発の底に潜むマグマ
   —崩壊する農業と官僚の腐敗をどう捌いていくのか—
                  Uploaded 2004.12.02
by DomonHiuga | 2005-04-12 17:20 | 中国関係


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